5月25日(土)、26日(日)、国立京都国際会館(京都府)にて
「第20回 日本認知症ケア学会大会 認知症という希望」が開催され、
当院認知症治療病棟の看護師 荻窪が
『口唇傾向のある前頭側頭型認知症患者の看護~プール活動を取り入れた看護~』
というテーマで発表をおこないました。
プール活動レベル(以下、PALと表記)とは、英国の作業療法士で、同国の認知症ケアを牽引しているリーダーのひとりであるJackie Pool氏が開発した、認知症をもつ人への介入を支援するツールです。パーソン・センタード・ケア、つまり認知症をもつ人をひとりの「人」として尊重し、その人の個性や人生、尊厳などとしっかり向き合うことで、「その人を中心とした最善のケア」を目指すことを理論基盤とし、認知機能障害をもつ人でも潜在的な能力をもっており、環境によってそれらの潜在的な能力が確認され、発揮されるという実証された原理に基づいています。
今回はこのPALを用いて、認知症治療病棟に入院している前頭側頭型認知症をもつ患者さまに対し、活動レベルから日常生活の関わりを改善し、本人の興味を置き換えることで口唇傾向を減らすことを目指した事例について発表をおこないました。
結果としては、活動外での口唇傾向は見られたため完全な置き換えには至らなかったものの、口唇傾向しない時間を作ることができ、また、ADL、IADLの向上、他者との関わりの増加、自己表出や笑顔の表出ができたことが効果として確認できたということです。
当院看護部では、パーソン・センタード・ケアという考え方のもと、PALをはじめとした様々な介入・評価の手法を用い、多職種で連携して認知症をもつ人ひとりひとりに向き合い、その人らしい生活環境を提供していくとともに、その人たちが住み慣れた地域での生活に戻るための支援をおこなっていきたいと考え取り組んで参ります。