年頭にあたり新年のご挨拶を申し上げます。
 当院も皆様に支えられ開設から45年を経過することができました。
今年は50数年ぶりにオリンピックの開催が予定され、この間、高度経済成長時代を経て、医療も「治すこと」「回復させること」から「癒すこと」「維持すること」へのパラダイムシフトが起きています。日本の高齢化率も30パーセントを臨むような状況の中で、世界から高齢者医療への注目を受けています。うした状況の中、当院も認知症疾患医療センターの指定から5年目を迎え、当地域での認知症医療の推進役として、認知症電話相談事業、認知症ライフサポートモデルに関わる多職種連携研修、認知症初期集中支援チーム派遣(早期診断・早期対応に向けた支援)等の町田市との提携事業を行うとともに、住民のみなさまに向けて公開講座を定期開催し、普及啓発に努めています。また、昨年は新たに高齢者支援センターと近隣の大学との共催で家族介護者支援会を発足させるとともに、介護者家族の支援を主目的とした独自のD-カフェ(認知症カフェ)を開始しました。
2045年には認知症高齢者数は800万人と推計され、そのうちの65パーセントは85歳以上が占めることになります。今後はますます慢性期医療への比重が高じることとなり、認知症の先駆的病院として疾患の啓蒙、予防治療を進めるとともに、かかりつけ医や関係機関と連携し地域の医療支援などを活用するネットワーク作りを目指しています。傾聴・共感・受容・支援的対応という精神科看護とともに精神保健福祉士・臨床心理士・作業療法士などを加えた多面的な管理を中心に医療を進めていく所存です。

内科診療においても、疾患の治療とともにフレイル・サルコペニア・ロコモティブシンドロームなどの加齢に伴う能力低下に対応した管理を行っております。当院は日本静脈経腸栄養学会認定研修施設として年間8回の「栄養サポートチーム(NST)専門療法士」実地修練を開催し、年間130名ほどの医療職を受け入れておりますが入院患者様に対しても治療の効果が十分に得られるよう栄養管理面から入院生活をサポートしています。
今後も安全・安心な医療体制を構築することを念頭に進めていきたいと思います。

本年も宜しくお願いいたします。

 

2020年正月
鶴川サナトリウム病院 院長
小田切 統二